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ダ・ヴィンチと「最後の晩餐」

本文

レオナルド・ダ・ビンチ Leonardo da Vinci
1452~1519 イタリアの画家・彫刻家・建築家

レオナルド・ダ・ビンチ(ダビンチ)は歴史上でも指折りの知識人で、画家としても、エンジニアとしても、思索家としても優れていました。

かの「最後の晩餐(ばんさん)」に着手する直前、レオナルドはある画家仲間と激しい口論をしてしまいました。

その憤りと苦々しい思いは甚だしかったので、レオナルドは、相手の画家をモデルにして、イエス・キリストを裏切ったユダを描くことでうっぷんを晴らそうと決意したのでした。こうすれば、復讐が果たせるし、後世にまでその画家の顔に泥を塗ることができます。

というわけで、ユダの顔は一番初めに仕上げられました。レオナルドが大口論をした相手の画家がモデルであることは、誰の目にも明らかでした。

ところが、キリストの顔を描こうとすると、一向に筆が進まないではありませんか。何かが彼を妨げているようで、懸命の努力にもかからず失敗の連続でした。

そこでとうとうレオナルドはある結論に達しました。その進行に歯止めをかけ挫折させているのは、ユダの顔を自分の敵の顔に似せて描いたからだと悟ったのでした。

そこでレオナルドは、ユダの顔をぬり消して、それからまた、イエスの顔を描き始めました。

すると今度は成功し、「最後の晩さん」の絵は、時代を超えて多大な賞賛を受けてきました。

他の人の姿を敵がい心と憎悪とで描く一方で、自分自身の生き方を通してキリストの姿を描くことなどできないでしょう。

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